もともと、日本での家の建築は、地縁を主とした個人的なつながりに頼っていました。
たとえば、家を建てたい人は・・・
- 知り合いの大工さん(工務店)に依頼する。
- 大工さんは依頼主のだいたいの希望を聞いて、設計材料の選択から実際の施工まで一手に引き受ける。
- 値段は大まかな坪単価で見積もって、特に特殊なつくりをしたり高価な材料を使う場合は、高めの坪単価に設定する。
そのような、よく言えばおおらかな、悪く言えばいい加減な取引が普通だったわけです。また、伝統的な日本建築は、一軒一軒がフルオーダーメイドでした。もともと機械生産をしているわけではありませんから、規格品という概念がありません。それぞれの条件にあわせた、ある意味では贅沢な作り方をしていたわけです。
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こういった状況では、個々の部材の質や単価、工法上の仕様などといった細かい説明はお客様にはなされません。きちんとした材木が使われているか、歪んだり腐ったりしないような工夫はなされているかといったことは、ほとんどが大工さんに任されています。頼んだ大工さんが誠実で信頼のおける人であればまったく問題ないのですが、知識や勘がなかったり、手抜きや詐欺まがい工事を平気でやる工務店に頼んだ場合には、悲惨な結果になります。
こうした商習慣は、考えてみれば非常に奇妙なものです。家というものは、年収の何倍もする高価な買い物であるにもかかわらず、買い主は材質や工法の細かい検討もせず、一切を任せてしまうのです。
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地域社会がしっかりと生きていて、大工、工務店の腕や誠実さが保証されていた時代はまだそれでもよかったのかもしれません。かつては材質や工法に余り選択の幅がなかったので、坪単価によるランクを設定すれば、それなりのものができてきたということもあるでしょう。
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実際のところ、本格的な木造住宅の需要が減少してきているため、本当の意味で大工と呼べる人が減ってきています。現在の工務店で、本当に木のことを知っている大工さんは二、三割いればいいほうではないかと思います。柱を刻んで組み合わせる技術も知らず、単なる『組み立て屋』になってしまっているのです。こうなると、職人の目と勘に頼っていた品質管理がおろそかになり、知識がないため腐りやすい材料を土台に使ったり、乾燥の十分でない材料を用いたため家が歪むといったことも起こるわけです。
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